戦闘地域からオデーサに逃れてきた避難民。ボランティアが配る支援物資の列に並ぶ(撮影:坂本卓)
2022年2月24日から始まった、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。8ヵ月が経った10月26日時点でいまだ収束の兆しが見えず、プーチン大統領はウクライナ東部・南部4州の「併合」や「戒厳令」を宣言し、攻撃が続く地域では市民の犠牲が相次いでいる。侵攻から約5ヵ月がすぎた7・8月に、紛争地取材を続けてきたジャーナリストが現地の声を取材した。

<前編よりつづく

残っている人の多くは60歳以上

ミコライウ市の中心部もまた、攻撃にさらされている。標的は軍事拠点や行政機関だけではない。住宅地や商店にも、ロケット弾やミサイルが容赦なく撃ち込まれている。

「町のインフラを破壊し、住民を恐怖に陥れて追い出そうとしている」

ウクライナ軍の地区担当者は、ロシア軍の狙いをこう説明した。

緊張が続く地域からは住民の脱出が相次ぎ、オデーサにも避難民が押し寄せていた。夏休み中の小学校が臨時の避難民登録のための受付所になっていて、支援物資の配布に長い行列ができていた。

地元市民が持ち寄った衣類や食器などの生活用品を、ボランティアが汗だくで仕分けする。倉庫には、トラックで届けられたヨーロッパ各国からの食料や医薬品が山と積まれていた。肉や魚の缶詰、ビスケット、赤ちゃんのおむつ。

ドイツ、ベルギー、ハンガリー、ポーランド……。物資の箱には、さまざまな国旗のラベルが貼ってあった。いくつもの国や人びとが、苦境にある人たちに手を差し伸べているのだ。カードも添えられ、「ウクライナがんばれ」「平和を」というメッセージがあった。

(地図製作:アジアプレス)