藤井棋聖が達成した主な記録

2015年10月(13歳2ヵ月) 最年少で奨励会三段に昇段
2016年10月(14歳2ヵ月) 最年少で四段に昇段、プロ入り
2017年6月        最多連勝記録更新(29連勝)
2018年2月(15歳6ヵ月) 中学生初の五段昇段
同            最年少で公式棋戦(朝日杯将棋オープン戦)優勝・六段昇段
2018年5月(15歳9ヵ月) 最年少で七段昇段
2018年10月(16歳2ヵ月) 最年少で新人王獲得
2018年12月(16歳4ヵ月) 最年少、最速、最高勝率で公式戦通算100勝
2020年6月(17歳10ヵ月) 最年少でタイトル挑戦者に決定
2020年7月(17歳11ヵ月) 最年少でタイトル獲得
2020年8月(18歳1ヵ月) 王位戦に勝利。二冠達成

名人への道のりは

棋士にとって、タイトル戦に出るか、出ないか。そしてタイトルを獲るか、獲らないかでは大きな違いがあります。新棋聖となってすぐの会見で藤井さんは「タイトルホルダーとしての立ち居振る舞いを学ばなくては」と言っていました。タイトルを獲ることは、まさにステータス。ライバルから尊敬し、見上げてもらえる存在になるからです。

さらに、タイトルホルダーになれば、棋士としての待遇も変わります。今回の勝利で、藤井さんは多額の賞金(額は非公開)を獲得しますし、一般の棋士よりも格上になりますから、対局中は上座に座ることになります。電車での移動もグリーン車になるんですよ。

また、藤井さんは棋聖戦を戦いながら、並行して王位戦という別のタイトル戦も戦っていました。王位戦は棋聖戦よりも持ち時間が長く、2日制で行われるため、棋聖戦とはまた違う戦略や集中力、体力が必要となる。難関といえるでしょう。とはいえ、もし2冠を達成すれば、私の最年少八段昇段記録(18歳3ヵ月)を抜いて、18歳0ヵ月にして八段昇段の条件を満たすことになります。

現役最強と言われる渡辺さん、そして99回もタイトルを獲得し永世七冠を達成した羽生善治さん。藤井さんはこの二人に何度も勝利しています。ということは、ほぼ敵なしの状態です。このままいけば順位戦(棋士の順位序列を決める棋戦。上からA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5つに分かれる。毎年度各クラスでリーグ戦を行い、成績上位者は昇級、成績の振るわなかった者は降級する。藤井棋聖は現在B級2組)で、早々にA級に昇級するでしょう。

約160人いるプロ棋士のうち、A級の棋士は10人程度。A級の中で勝ち抜き成績が1位になれば、名人への挑戦権を手にできる。名人への距離もぐっと縮まります。