(撮影:ケビン・チャン)
近年、日本だけでなく欧米の化粧品メーカーも注目する「発酵成分」。なぜスキンケアに 多用されるのか、肌への効果はどんなものなのか。メイクアップアーティスト・山本浩未さんの疑問に、発酵に魅せられた成分研究者の小鷹晶さんが答えます(撮影〈人物〉=天日恵美子〈商品〉=ケビン・チャン 文=片岡えり)

豊富なアミノ酸と乳酸を含む独自の発酵液

山本 ところで、ファンケルの新しい発酵成分は何と何の掛け合わせなのですか?

小鷹 小社の場合は、デリケートな肌でも安心して使えるように、アルコール無配合を重視。アルコールを作らない酵母の中から、肌のバリア機能に必要なセラミドを作る酵母を厳選しました。その酵母は乳酸も作るため、古い角層がはがれにくくなった大人の肌のターンオーバーを促す効果もあるのです。餌として使ったのは、GABA(ギャバ)などの栄養成分を豊富に含むオリジナルの発芽米「金のいぶき」。それをさらに発芽させ、栄養価を高めて「金のいぶき発芽米発酵液」を作りました。

山本 これまでもファンケルには、発酵液を配合したスキンケアはありましたよね?

小鷹 はい。ただし今回の発酵液は、これまでのものと餌が違うため、生み出される成分も異なります。水を一切使わず、発酵液だけで、美容液ともいえそうな主役級の化粧水ができました。

山本 すごい本気度! そのくらい今回の発酵液は魅力的?

小鷹 肌に浸透しやすいのはもちろん、保湿成分のアミノ酸や乳酸のほか、ポリアミンという有用な成分も含まれています。ポリアミンは、腸内に多く存在すると長生きするという研究データもある注目の成分です。細胞を活性化する働きがあることは知られていましたが、新たにコラーゲンやヒアルロン酸、抗酸化物質のグルタチオンを増やすことも発見しました。

新たにコラーゲンやヒアルロン酸、抗酸化物質のグルタチオンを増やすことも発見したと語る小鷹晶さん(撮影:天日恵美子)

山本 さきほど、水を使わないとおっしゃっていましたが、それは商品の成分表示を見るとわかりますね。一般的な化粧水は最初に「水」と記載されていますから。

小鷹 配合量の多い順に表記されているので、ひとつの目安にはなりますね。