(イラスト:藤田ヒロコ)
総務省統計局による「家計調査」(2021年)の結果によると、子どもが2人産まれた場合の4人家族における一般的な1ヶ月の生活費はおよそ30万円。その中でも飲食費の占める割合が最も高く、平均で8万円強かかっています。物価の高騰によりさらに家計を圧迫する事態が起きそうですが、そんな中で質素倹約に励むのが主婦の務めと言わんばかりに、目を見張るようなスーパーテクニックを編み出す節約上級者もいます。しかし、度が過ぎるのも考えもので──。森島由香里さん(仮名・岡山県・主婦・55歳)は、引っ越したばかりとのきに親切にしてくれたママ友と一緒に子ども会の役員をすることになりましたが、笑顔の裏に隠された本性に苦悩することになり――。

いつも11時に来る友人の狙いとは?

十数年前、岡山に転居してきたとき、ものすごく親切にしてくれたM子。彼女の明るい笑顔に私はすぐ好感を抱き、一緒に地域の子ども会の役員をする約束をした。知らない土地で心強い友達ができたと喜んでいたのも束の間、笑顔の裏に隠されていたM子の本性を知ることになる。

ある日、役員の打ち合わせをわが家で行うことになった。下の子がまだ2歳だったので家に招くことには抵抗を感じず、むしろありがたいぐらい。M子が「11時ごろに行くね」と言うので、お昼前には終わるだろうと思っていたのだが、13時になっても帰る気配がない。

話が横道にそれっぱなしで、建設的な会話ができないまま、そろそろおなかもすいてきた。結局お昼ごはんを作って出したのだが、M子は食べ終わったらすぐに帰宅。それから毎回、昼ごはんを食べては帰るということが続いた。

どうやら彼女は、お昼をうちで食べて1食分浮かせようという魂胆らしい。思い切って「次は私がM子さんの家に行くわ」と言うと、「部屋が散らかっているから」と。無性に腹が立ったが、役員の仕事を辞めるわけにはいかないので辛抱するしかない。

そしてお歳暮の時期のこと。玄関に積み上げていた「青森りんご」の箱を見つけたM子は、「あっ、蜜入りりんご、おいしいよね」と、私がりんごをおすそわけするのを待っている。大量にあったので10個ほど袋に入れて渡したら、いそいそと帰っていく。私は即座に、お歳暮の品々を目につかないほかの部屋に移動した。