中村メイコさん(左)と南杏子さん(右)(撮影:山田英博)
いつも笑顔で潑剌とした印象の中村メイコさんも、御年88歳。3年前に骨折してからは、体力の衰えを感じることがあると言います。そこで、高齢者を中心に診る病院で診療にあたる傍ら、医療にまつわる小説を数多く執筆している作家の南杏子さんに、「元気で長生き」を叶えるための心がけについて聞きました(構成=内山靖子 撮影=山田英博)

85歳のときに転んで骨折

 メイコさんは、3年前に股関節を骨折されたとエッセイに書いていらっしゃいましたが、すっかりお元気そうですね。杖も使わず、ご自分の足でしっかり歩いていらっしゃる。

中村 さすがに以前のようにちゃかちゃかとは歩けませんが、おかげさまで、こうして元気に仕事もしています。杖も買ったんですけど、しょっちゅうどこかに忘れてきちゃうので(笑)、ほとんど使っていないんです。

 骨折されたときは、どんな状況だったのですか?

中村 夫(作曲家の神津善行さん)の演奏会の楽屋で滑って転んだんですよ。たいした転び方じゃなかったのに折れちゃうなんて、ビックリでした。手術もしなきゃならなくて、1ヵ月も入院したんです。

 高齢になると、ちょっと転んだだけで骨折してしまう例が多いのです。特に女性の場合、閉経後に女性ホルモンが急激に減ることで骨がもろくなり、男性に比べて骨粗しょう症になりやすい。メイコさんの場合も、骨盤骨のくぼみにはまっている大腿骨の頸部が折れやすくなっていたのでしょう。もともと細い部分なので、わずかな衝撃でポキンと折れてしまうのです。