経済ジャーナリストの荻原博子さんが、お金に関するお得な情報をわかりやすく解説する新連載「トクする!荻原博子のマネーNEWS」。今回は「高齢者の医療費自己負担の増加」です(イラスト:さかがわ成美)

高齢者の医療費自己負担が、1割から2割に

2022年10月から、今まで医療費の自己負担が1割だった75歳以上の高齢者のうち、約370万人の自己負担が2割に上がっています。

2割負担の対象となるのは、単身世帯で年収200万~383万円、2人世帯だと合計年収が320万~520万円の人。

ただし、今まで1割負担だった人が、いきなり2割になると負担感が大きい。そこで10月から3年間は移行期間として、外来(通院)での窓口負担の増加額を1ヵ月最大3000円までに抑える措置が取られています。

1割負担から2割負担になると聞くと、1ヵ月の医療費が50万円かかる人なら窓口負担が今までの5万円から10万円に上がる気がして心配かもしれません。ですが、公的な保険には「高額療養費制度」という、自己負担額を一定額までに抑えられる制度があります。

この制度の上限額は70歳未満と70歳以上とでは異なりますが、70歳以上で年収約156万~370万円の場合、入院費用がどれだけかかっても、保険適用範囲なら1ヵ月に世帯あたり5万7600円を超えた額は戻してもらえます。

たとえば、2割負担で自己負担額が10万円になったとしても、「高額療養費制度」を使えば、自己負担額は5万7600円に減るということ。

また「高額療養費制度」では、同じ医療保険に加入している家族は、かかった医療費を「世帯合算」できます。たとえば、75歳以上で後期高齢者保険に入っているご夫婦の場合、2人で入院して100万円の治療費がかかったとしても、「世帯合算」すれば2人で5万7600円の負担で済みます。