ブロッコリーと「かきくけこ」
崑 そんなこんなで医師に死ぬと言われていた40歳を過ぎ、50の坂も無事に越えてほっとしたころ、大腸がんが見つかった。
瑤子 あなたが58歳の時ね。早期発見で本当によかった。その後は前立腺がんもありました。
崑 瑤子さんは、僕に比べると丈夫やけど、つい最近、大きなケガをしたでしょう。
瑤子 2ヵ月前ね。両手に荷物を持って寝室に行こうとしたら、玄関の土間の段差にひっかかってバーンと飛んじゃった。膝の皿が縦に割れてしまって。
崑 それでも松葉づえをついてジムに通うんだから。
瑤子 だってその分、脚の筋肉を鍛えないと、歩けなくなるでしょう。今、ようやく落ち着いてきたところです。スクワットすると、まだちょっと痛いけど。
崑 そりゃ、痛いでしょ。ジムではトレーナーさんが褒めてくれるから、がんばれるんやね。「背中の筋肉がすごいですよ!」なんて言われると、ほんまに嬉しい。それから最近、ぴたっとしたTシャツも着こなせるようになりました。筋トレのおかげで、肺がなくてぺちゃんこだった左胸に筋肉がついて逞しくなったから。86歳から始めて、こんなに変われるとはすごいね。
瑤子 今では、夫婦の会話の半分以上は、筋トレのこと。残りの半分が、食べ物かな。
崑 食べ物で一番見直したのは、ブロッコリーね。他の野菜が束になってもかなわへん栄養があるとわかってからは、毎日食べています。しかも、ブロッコリーは何回も噛まなあかんでしょ。この前、試しに数えてみたら、60回も噛んでたよ。
瑤子 あんまりおいしくないけどね。よく噛まないと飲み込めないし。
崑 そやから、ええんでしょ。
瑤子 たくさん噛むと、顎や喉の筋肉が鍛えられて誤嚥性肺炎の予防にもなるのよね。
崑 大事なことやね。瑤子さんは、脳を活性化する「かきくけこ」って知っていますか?
瑤子 かきくけこ?