瀬戸内寂聴さん(右)と林真理子さん(左)(撮影:霜越春樹)
11月19日『世界一受けたい授業』に、日大理事長に就任した林真理子さんが登場。星野源さんの『いのちの車窓から』や、作家という仕事について語ります。故・瀬戸内寂聴さんとの最後の対談となった『婦人公論』2022年2月号の記事を再配信します。


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2021年11月9日、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが逝去されました。親交の深い林真理子さんが京都・嵯峨野の寂庵を訪ねたのは、その半年ほど前の6月のこと。2022年5月には100歳のお誕生日を迎えるはずだった瀬戸内さん。最後に作家である二人が交わした約束とは――(2021年6月30日に収録)【撮影=霜越春樹】

辞書なんて引いたことない

 寂聴先生、お久しぶりです。コロナウイルスが広がってからは、外出もままならない日が続いて、楽しみにしていたイベントや会食は軒並みキャンセルになるし……。私、すっかりまいってしまいました。緊急事態宣言が解除されて、こうしてお目にかかれて嬉しいです。先生、どんな毎日を送っていらっしゃるのですか?

瀬戸内 まったく外出しませんし、月1回の法話はお休みしていますし、静かなものです。遅くまで原稿を書いたり本を読んだりして、朝は好きな時間に起きる。

 ほんとうですか? 散歩されたりは?

瀬戸内 全然しない。体にいいことはなんにもしない。この前読んだ本には、「歳をとったらだんだんずぼらになる。風呂に入りたがらない、顔も洗いたがらない」とあって、まったくその通りなの!

 先日、入院されたと伺って心配していました。

瀬戸内 最近は出たり入ったりね。
脚の血管を広げるカテーテル手術を受けるために、5月15日の99歳の誕生日は病院で迎えたんです。

 それでも、文芸誌や新聞、週刊誌の連載は続けていらっしゃる。

瀬戸内 しんどいと思いますけど、一度書きだしたら、若い時と同じです。先日、新聞の連載に蛍のことを書いたら、すごく反響があって、いっぱい手紙をいただきました。『新潮』の編集長は本当におだて上手で、絶賛してくれる。そういうのが嬉しくて、ついノるのよね。