改まって話す時間って実は少ない
志麻 漫画だったらモクモクした形の吹き出しになるような「心の声」も全部、ロマンは口に出すからね。いつもにぎやか。
聞く側の「受け止める力」も大事だけれど、「違和感をちゃんと伝える力」も必要だと思う。私もロマンの話を聞いていてイラッとすることもあるんだよね。そのときは我慢しないで「いや、私はこう思うけどな」って口にするようにしてる。イラッとしてもいいし、そのときにはすぐに伝える。
ロマン そうそう。小さな「イラッ」をため込んじゃダメだよ。
志麻 そんなふうに、なんでもない日常の会話を普段からすることとか、そのなかでも 「思ったことはなんでも言える関係」であろうとすることの積み重ねが大事なのかも。すると、子どもたちの教育とか住む場所とか、人生に深く関わる大事な相談も早めに話し合えるし、トラブルも大ごとになる前に一緒に考えられるから。
うちの家族の場合、だいたいのことはごはんを食べながらの普段の会話で解決できているから、「あれについて話そう」みたいに改まって話す時間って実は少ない。でも、それが私たちらしいスタイルだし、自然なんだよね。
※本稿は、『この人と、一緒にいるって決めたなら――タサン志麻&ロマン、私たちの場合』(日経BP)の一部を再編集したものです。
『この人と、一緒にいるって決めたなら――タサン志麻&ロマン、私たちの場合』(著:タサン志麻、タサン・ロマン/日経BP)
「沸騰ワード10」(日本テレビ系)、「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK)などに定期的に登場し、「冷蔵庫にある食材で3時間で10品以上の極上料理を作る」という料理テクニックが評判のタサン志麻さんが、主夫として志麻さんを支えるフランス人の夫・ロマンさんとともに初めて語り下ろす、夫婦と家族関係についてのエッセイ本。2人の思い出にまつわるレシピや、志麻さんのキャリアヒストリーも収録。志麻さんファンはもちろん、志麻さんを知らなくても、「大切な人とのパートナーシップ」に関心のあるすべての人の心に響く1冊です。