「こんなふうにこれからは生きていきたいな」って

志麻 フランス人は家族との会話の量が本当に多いよね。それはレストランで修業するためにフランスに留学したときに、肌で感じたこと。

『この人と、一緒にいるって決めたなら――タサン志麻&ロマン、私たちの場合』(著:タサン志麻、タサン・ロマン/日経BP)

私が生まれ育った家庭は、なんとなくお父さんの言うことを皆で聞く雰囲気があって、きょうだいの関係も「お姉ちゃんの言うことを聞きなさい」としつけられてきたから、私が自分の気持ちを素直に話せる時間ってあまりなかった。

でも、それが”普通”だと思っていたから、何も疑わず、でもちょっと居心地は悪いなと感じながら過ごしてきたんだよね。家族の影響というより、私自身が殻に閉じこもって自分をうまく出せていなかったんだと思う。

大人になってフランスに行って、家族が上下関係なくみんなフラットに自分の言いたいことを伝え合っている輪の中で過ごしたときに、「ああ、いいな。私はこっちの関係のほうが居心地がいいし、向いているな。こんなふうにこれからは生きていきたいな」って感じたの。フランス人と結婚したいなと思うようになった理由は、家族のコミュニケーションの形が理想的だと感じたから。

ロマン フランス人のなかでも私が特別によかったんでしょう?

志麻 もちろん(笑)。でも、過去の私に限らず、日本人が恋人や家族と話す会話の量は、フランス人と比較するとかなり少ないほうだと思う。

ロマン それは間違いないね。