2019年度の生命保険文化センターの調査によると、少しでも自分の老後生活に「不安感あり」とした人の割合は84.4%と実施者の大部分を占める結果に。「親の介護」を不安に思いつつ、自分の老後への不安を募らせている40代や50代の読者も多いのでは。しかし、経済ジャーナリストの荻原博子さんは「親の老後を乗り切る戦略が立てられれば、自分の老後についても向き合える」と言います。例えば、遠く離れた田舎にお墓がある場合、管理方法を事前に親と検討する必要があるとのことで――。
意外と切実な「お墓」のこと
親が元気なうちに聞いておきたいことのひとつに、お墓のことがあります。
親が上京して、お墓は遠く離れた田舎にあるという方は意外と多いようです。
ところが親の代では、田舎に親戚や顔見知りも多いですが、子供の代になると、どんな親戚がいるのかわからないというケースはままあること。
そうなると困るのは、「お墓」です。田舎に、先祖代々のお墓があっても、あまりに遠ければお墓参りをするのも難しい。中には、みんな都会に出て来てしまっていて、お墓を守る人がいなくなってしまったというようなことも起きています。
墓がある人は、墓地管理料を支払いますが、これを何年も滞納すると「無縁墓」ということで、最悪の場合にはお墓そのものが撤去されてしまう可能性があります。
2018年2月に中日新聞が行ったアンケートでは、公営墓地を持つ全国の政令指定都市と県庁所在地など計73の自治体のうち、「無縁墓」を抱えている自治体は約7割にのぼるとのこと。全国には、放置されたままのお墓が多いということです。
これをどうすればよいのか、親が法事や墓参りに行った折などに聞いておいた方がよいのです。墓地管理料を自分で支払うことにするのか、あるいは「墓じまい」をするのか、考えておくのです。