認知症の人の介護はとても大変。記憶障害により同じ言動を繰り返してしまうことも多いため、介護者としても接し方に悩む場面も多いでしょう。時には精神的・時間的余裕をなくし、冷たい対応を取ってしまう…なんてこともあるかもしれません。しかし、介護者の対応によって、認知症の症状が悪化してしまう恐れもあるんです。今回はそんな、認知症の人に対するNG対応を3つご紹介します。
認知症の祖父を持つAさんの事例
会社員のAさんは、両親と祖父母の5人暮らし。最近になって、祖父のBさんが軽度の認知症と診断されたため、家族みんなで介護をすることになりました。Bさんは物忘れが激しくなっており、
「食事はまだか?」
「さっきもう食べたでしょ。」
「今来た人は誰だ?」
「友だちのCさんでしょ。」
毎日がこんなやり取りの繰り返し。さすがに煩わしく思ってしまうAさんたちでしたが、Bさんの質問に対し、無視することなくいつもきちんと答えてあげていたため、自分たちは全く問題のないコミュニケーションを取れていると思っていました。
しかし、Bさんに変化が。
「そろそろ仕事に行く時間だ。」
「何言ってるの!仕事なんてもうとっくの昔に辞めたじゃないの!」
「ばかなことを言うな!」
Bさんはなぜか、日増しに怒りっぽく、疑り深くなっていきます。認知症の初期は家族の言うことを素直に聞いてくれていたのに、今となっては何もかも疑うようになってしまいました。
Bさんが急速に変わってしまった原因には、認知症の悪化だけでなく、Aさんたちの対応も少なからず関係していると考えられます。具体的には、どのあたりがいけなかったのでしょうか? 認知症の人に取ってはいけないNG対応を見ていきましょう。