これだけは避けたい!認知症の人に対するNG対応3つ

(1)叱る

認知症の人の多くは、「××をしてしまったから叱られた」といった因果関係の理解が苦手だとされています。記憶障害により、自分の言動を長時間覚えておくことが難しいためです。

しかし、原因は分からなくても、叱られた、ということだけは理解できます。そのため、「叱られた」「否定された」という不快な感情だけが心に残ることになってしまうのです。

こうした負の感情が蓄積されていくことで、行動異常や妄想などに繋がることもあります。

(2)物忘れを指摘する

家族や周囲が物忘れを指摘するのはNG。認知症の人は「記憶にないことはしていない」と強く思い込む傾向があるとされています。逆に家族や周囲が嘘をついていると思い、疑心暗鬼になってしまう場合もあるのです。

家族に冷たい対応を取られるうちに徐々に疑心暗鬼に陥っていき、ついには「家族が物を盗んだ」という思い込みをするまでにいたってしまったケースも。

家族を疑う認知症の人の心理を解説した記事「【漫画】「財布盗ったの?」介護者を疲弊させる、認知症の物盗られ妄想。反論せず、一緒に探して「不信」を払拭する」はこちら

(3)強要する

認知症の人は、自分が認知症であるという自覚はなくても、以前はできたことができなくなっている自覚はあるなど、漠然とした不安を感じていることが多いようです。

そのため、強い口調での命令や強制に対しては、敏感に反応してしまいがちです。

(1)と同様、認知症の人に対して何かを強要する行為は、「脅された」「叱られた」といった負の印象のみを強く与えることになります。

こうした行為の積み重ねが徐々に信頼関係の崩壊を招き、家族や周囲の人たちへの不信へとつながっていくのです。

以上、認知症の人に対するNG行動3つをご紹介しました。認知症の人に誤った対応を取っていると、症状を進行させてしまう可能性があります。なるべく言動の否定は避け、肯定する姿勢を大事にしましょう。

認知症の父に「褒める介護」を実践した森久美子さんの介護エッセイ記事「認知症の父の言動にずっと上げ足を取り、常に否定していた。息子に諭され「褒める介護」を実践したら、父が柔和になった」はこちら

また、認知症の人への対応に困った際は、くれぐれも一人で抱え込まないこと! 家族や周囲の人に協力をお願いし、支えあいながら介護をするのが理想的です。

認知症の母をきょうだいで支える桐島かれんさん・桐島ノエルさんの対談記事「桐島かれん×桐島ノエル「母・洋子が認知症に。聡明だった母は自分が自分でなくなる不安に取りつかれ、精神的にもひどい状態だった」」はこちら