NHK『らじるラボ』で共演後に対談を(撮影◎本社・奥西義和)
はせがわゆうじさんによる絵本『もうじきたべられるぼく』は、“食べられる運命”を受け入れた子牛の「ぼく」が、お母さんに会いにいく物語です。TikTokでは、読み聞かせ動画が「号泣注意」と300万回再生されて話題を呼び、2022年8月9日には絵本となって書店に並びました。その絵本と運命の出会いを果たしたのは、3児のママでもあるタレントの山口もえさん。自ら絵本に挟まっていた「読書カード」ハガキを書いて出版社に送るほど物語に衝撃を受けたそう。この度、著者のはせがわさんと山口さんの対談が実現。お二人がこの物語への思いや絵本の魅力について語ってくれました。
(構成=かわむらあみり 撮影=本社・奥西義和)

読者カードの名前を「山口もえ」か「田中もえ」かで悩む

はせがわ この『もうじきたべられるぼく』は、もともと動物園の動物と、食べられるための動物は「同じ命なのにどうしてこんなに扱いが違うんだろう?」と思ったことから、生まれたお話なんです。自分よりまず相手のことを思い、相手の幸せを最優先に考える物語に僕はいつも心が動くので、そういった思いも、最初の核にありました。あとの細かいことは、ずいぶん前のことで、実はあまり覚えていなくて。(笑)

山口 最初に企画されたのは、どのぐらい前になりますか?

はせがわ 正確には、十数年前のことになります。当時、いくつかの出版社さんにお見せしましたが、食べられてしまう子牛の話だからか、ボツばかりで、出版には至りませんでした。

山口 そうなんですね。でもこうして今、絵本になって本当に良かったです。私は子どもの習い事の合間に書店にプラッと立ち寄って、偶然この絵本を手に取ったんです。まずタイトルを見て「えっ!?『もうじきたべられるぼく』だなんて、結末がなんとなくわかるけど……」と思いながら、その場ですぐに読んだら衝撃を受けました。「ああ、こんな素敵な絵本があるんだ、これはすぐにでも伝えたい!」と、とにかく大事な人にこの物語を伝えたいという衝動が最初に来ました。まずは事務所のマネージャーやスタッフのみんなに「本当にいい絵本だから読んで!」と勧めました。

はせがわ ありがとうございます。

山口 そのぐらい衝撃が走って、めったに自分のインスタグラムで商品を紹介することはないのですが、この絵本はたくさんの人に伝えたいからと紹介しました。さらにこの気持ちを伝えたいと思って、絵本に「読者カード」が入っていたので、ハガキを書かせていただきました。「山口もえ」で出そうか、「田中もえ」で出そうか、すごく悩みながらも、せっかくの機会だから、山口もえで出してみたんです(笑)。子どもの年齢と住所を書く欄があったので、15歳・11歳・5歳、東京都出身とそのまま書いて感想を送りました。

サイン本を手渡すはせがわさん

はせがわ 本当に嬉しいですね。

山口 こんな素敵な物語を1冊の本にしてくれてありがとう、というお礼の意味もあって、編集部の方にもお礼を伝えたいという意味でもハガキを書いて、居ても立っても居られなくて動き出したのが始まりです。そのハガキを出版社の営業の方が発見してくださったことがきっかけで、今回、絵本の帯の言葉を書かせていただくことになりました。この対談の前には、毎週月曜日にレギュラー出演しているNHKのラジオ番組(NHKラジオ第1・東京『らじるラボ』午前8:30〜)にも、はせがわ先生にゲストでお越しいただきましたし、こうして対談もさせていただいて、いろいろなご縁が繋がって私も嬉しいです。

はせがわ こちらこそ、ありがとうございます。