夫が絵本を読む係だけど、いないときは私の出番
山口 普段、絵本はさまざまなジャンルのものを選びますし、子どもが気に入って手に取ったものも読みます。とくに次女は今5歳なので、絵本は必需品。毎日、5冊の絵本を選んで、読んでから寝ています。実は、私よりも夫(爆笑問題の田中裕二さん)のほうが読むのは上手なんですよ。夫が絵本を読む係なので、夫が忙しいと、朝、次女が「パパ、今日は絵本読める?」と聞いていて。それはつまり、「何時に帰ってくる?」ということなんですけど、自分の寝る時間までに帰ってくるかを確認して、絵本を読んでくれることがわかると「やったー! 待ってるね!」と、夫との会話を楽しんでいます。夫がいないときは私の出番。でも、私は読み間違いも多いから、「ママ、なんか今飛ばした?」と子どもから注意されることも。(笑)
子どもの絵本を読んでいると、自分自身が幼いときに親しんでいた絵本のことも思い出します。私は『ぐりとぐら』や『ノンタン』シリーズといったベストセラーの絵本を読んでいましたが、今でも心に残っていますね。大人になってから絵本を手に取ると、自分が子どもだったときよりも、今はよりたくさんの種類の作品が増えたんだと感じます。それこそ、はせがわ先生が絵をお描きになった絵本『サンタさんのゆめ・トナカイさんのゆめ』では、前後どちらから読むかでお話が違っているけれど最後は繋がるという、面白い仕掛けのものもあって。
はせがわ 画期的な絵本でしょ(笑)。何十年も前に、シンガーソングライターの西島三重子さんが文を書き、ぼくが絵を描いた『サンタさんのゆめ』に、トナカイさんから見た視点を入れてリニューアルして出すことにしたんです。
山口 そういった作家さんのアイデアがあふれた絵本もあって、今の時代は子どもだけではなく、大人も楽しめるものに変わっていっているのかなと思いました。
はせがわ 昔と比べると、今の時代では変化する出来事もありますよね。でも、子どもが変わってきたのではなく、自分が子どもに向けて書く絵や、自分自身が変わってきたということはあるかもしれません。たとえば、昔から学習参考書の細かいカットの仕事をやっていまして…ドリルの横にちょこっとある絵とか、すごく大変なんです。大量だったり、指示通りに描かなきゃいけなかったり。正直なところ、忙しい時期は、めんどくさいなと思いながら仕事をしてしまったこともありました。
でも、自分が子どものときは、ドリルの内容よりも、その絵をよく見ていたなと思い出して。今、そういう仕事をいただいたら、絶対それしか見てない子もいるはずだから、そんな子に届け!と思って、ちょっと絵に仕掛けをするようになりました。描く側としての気持ちは変わりましたね。
山口 素敵なお話です。