千秋楽の前日にいただく手紙

公演中にアドバイスをしてもらったとか、
お稽古をしてもらったとか、
お化粧を見てもらったとか、
あの場面のあのシーンを密かに見ていましたとか、
内容はそれぞれです。
思わぬ人や、まったく接点がないと思っていた人からもらったりすることもありました。

ファンの方がファンレターを書くのと同じように、
どのハガキを使おうかなと、出掛けたときに可愛いものを買っておいたり、
その人に合わせて選んでみたり。
ハガキのセンスは人柄が出ます。
ちなみに私はこう見えて可愛いものが好きで、
見た目とのギャップに、しばしば人を驚かせたものです。

千秋楽の前日はそんな日常的なお手紙文化がありました。
いつもは頂く側のタカラジェンヌも、
気持ちを文字にして想いを伝える大切さや、
心を込めて書いた手紙が特別なものだということを知っています。

見慣れた文字のファンの方からの手紙。
名前を見なくても誰の字かわかるほど見慣れた文字です。
最初の頃は気が付かなかったのですが、
いつも最後が同じ言葉で締めくくられていることにある日気が付きました。

「幸せを願っています」
「たくさんの幸せが訪れますように願っています」

言葉は少し変わりながらも、いつも幸せを願ってくれる文章で締めくくられています。
今日も願ってもらった、と読み終えてふっと笑顔になれます。
「幸せを願ってくれる人」として、文字は頭にインプットされました。