会場は熱気に包まれて

インドネシアのスカルノハッタ国際空港到着時、我々同行者が入国審査に手間取るなか、桐野さんはVIPとして特別ゲートに。本大会が国際的なイベントだということの証です。

会場は街の中心に位置するフェアモントホテル。天井の高い豪華な会場には、ジャカルタのジャーナリストや作家、編集者をはじめ、スイスやイギリス、ブラジル、タイ、オランダなど各国から大勢の出版関係者が集っています。

11月10日、初日の朝8時から大会はスタート。「テクノロジーが出版の自由に与える影響」など、さまざまなな議題のスピーチやディスカッションが行われ、ジャカルタの平均気温30度に負けないほどの熱気に包まれていました。

ジャカルタのジャーナリストや作家、編集者はもちろんのこと、スイスやイギリス、ブラジル、タイ、オランダなど各国から大勢の出版関係者が集まった

桐野さんは2日目の11月11日、「表現・出版の自由」をテーマに登壇。インドネシアには『ナニカアル』という作品の取材のために訪れたことがある、と数百人の観衆を前にスピーチの口火を切りました。

『ナニカアル』は作家・林芙美子をモデルにした小説で、彼女たち作家が第二次世界大戦中に「徴用」という形で召集され、インドネシアなどに派遣されたことが描かれています。桐野さんは作品にも登場する当時の日本軍が行った出版物の厳しい検閲について触れ、民間人の間にも「隣組」という組織が作られ、互いの監視や密告が横行したことについて言及しました。