調理が簡単でアレンジが豊富

「若い頃に比べて胃腸の消化吸収能力が落ちてくるため、シニア世代はたんぱく質が不足しがち。オートミールはアミノ酸スコア(体内で生成できない必須アミノ酸が食品にバランスよく含まれているかを評価した数値)が最高水準の100。筋肉を作るのに必要なバリンなどの含有量が多いので、足腰の筋肉量を増やすためにもいいと思います」

聞けば聞くほどいいことばかりだが、昔からあったオートミールが今、これほどの人気になったのはなぜだろう。石原先生が続ける。

「お米の代わりなど置き換えがしやすく、調理が簡単だからではないでしょうか。料理レシピ本も多く出版され、かつての《牛乳をかけて食べるどろっとしたもの》というイメージを一新しましたよね」

確かにレシピ本を見ると、炒飯、ピザ、オムライスなどアレンジが豊富。石原先生も日々の食事に取り入れているそうだ。

「キーマカレー風やリゾット風などはよく作ります。リゾット風は鍋にオリーブオイルを入れ、肉類や野菜などの具材を炒めて塩コショウし、火が通ったらトマト缶を汁ごと入れる。そこにオートミールを加えて煮立たせ、好みの味に調えたら完成。簡単ですよ」

〈もっと知りたい! 代替食ブームの裏側〉

料理レシピの検索・投稿サイト「クックパッド」によると、その年を象徴する食や家庭料理を選ぶ「食トレンド大賞2021」の大賞は「オートミールごはん」。レシピ検索頻度は19年からの2年間で9.4倍に伸長したという。ブームに火をつけたのは、コロナ禍の「巣籠もり」による運動不足と、ダイエット志向の高まりだといわれる。オートミールは置き換え食材の代表格として、利用が高まった。

「代替食」とは、ある食材を別の食材に置き換えた食事のこと。「代替食品」は味や見た目、食感などを模して他の食材を代用したもの。肉や魚といった動物性の食材を、大豆などの植物性由来の原料で似せて作った食品を指す場合が多い。近年は、環境破壊や食糧不足など、世界的な社会問題を背景に、持続可能な代替食品が脚光を浴びている。

(左)オートミール炒飯(右)味玉オートミールおにぎり(写真提供=筆者)