イラスト:小林マキ
新型コロナウイルスに加え、風邪やインフルエンザへの対策が必要な季節です。こうした感染症を遠ざけるためには、ふだんから免疫力を高めておくことが肝心。専門医に対策法をアドバイスしてもらいました。
(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

乾燥気味の粘膜からウイルスが侵入する

この冬、心配されているのが新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時感染。手洗い、うがい、マスクといったいつもの予防策のほかに何か手立てはあるのでしょうか。

「どんなに気をつけていても、ウイルスや細菌が入り込む可能性をゼロにすることはできません。そのため、ウイルスや細菌と戦う力、つまり免疫力を高めておくことが肝心です」と話すのは、きたにし耳鼻咽喉科の北西剛先生です。

私たちの体で免疫力を司る一つが粘膜です。とりわけ、鼻、口、のどの粘膜は、空気や飲食物とともに入り込んでくる外敵と戦う、いわば最前線。その粘膜の状態をいかに良好に保つかが免疫力を維持する鍵となる、とアドバイスします。

「粘膜は、粘液によってうるおっていることで高い免疫力を発揮可能です。粘膜が体というお城を守る《城壁》だとすれば、《粘液》は城壁に近づこうとする敵をさらに水際で食い止めるお堀のようなもの。粘液には、ウイルスや細菌が粘膜に付着するのを阻止する分泌型IgA、細菌を分解するリゾチーム、粘膜を保護するネバネバ成分のムチンなど多様な成分が含まれ、外敵の侵入から体を守っているのです」(北西先生。以下同)

ところが、加齢に加え、冬は乾燥や水分摂取不足により、粘液の分泌量が減ってしまうそう。

「コロナ禍で人と会う機会が少なくなったことで、会話が減り口まわりの筋肉が衰えた結果、口呼吸になっている人が増えているのも問題です。口呼吸になると口の中が乾燥して、ウイルスや細菌を含んだ空気が直接、気管や肺に侵入しやすくなってしまいます」

口を開きがちな人は要注意。また、咳がなかなか止まらない、食べ物がスムーズに飲み込めないといった症状も口の中が乾燥している証拠といいます。

「こまめに水分補給をするようにして、口の中をうるおすよう心がけましょう」