アニメの何を研究しているのか

昔よりもはるかに多様化したアニメ研究は、大きな括りではアニメの表現や業界の歴史、ストーリーの伝え方、アニメの芸術性、ジェンダーの表現、見る人の属性や受け取り方、音の使い方などが挙げられる。

例えばアニメの表現。怒った時に使うプンプン印は、いつどこからどういう理由で現れたのか。これは日本のアニメや漫画特有で、アメコミには出てこない。アニメを見慣れていない人からすれば、どうして「くの字」が4つ連ねられているのか、という謎の印になってしまい、登場人物が怒っているとは理解し難い。

別の例で、音の使い方。音は「音声」「音楽」「効果音」が使われるが、中でも声優の役割はどうだろうか。

日本では全く違和感がなく、女性の声優が少年を演じることが受け入れられているが、これは世界一律ではない。ポケモンの初代主人公サトシは、海外では〝Ash(アッシュ)〞という名前が代わりに使われ、Ashはヒンディー語やフランス語やスペイン語圏では男性の声優が演じている。

実際聞いてみると、日本語版に慣れ親しんだ身からすると、相当の衝撃を受ける。日本でも最初から女性の声優が少年を演じていたわけではなく、戦後のラジオドラマのキャスティングの都合がまず最初のきっかけだったことがわかっている。