書棚に本が並べば何とかやっていけそうな気にもなる

日本では室町時代から、知識層の人の家には読み終えた本を収納する整理箱としての書棚はあったが、明治の文明開化以降、特に関東大震災以後になると、本棚の概念に変化が芽生えたようだ。

震災によって日本の出版業界は大きなダメージを被ったが、そのうちのひとつである改造社という出版社は、倒産寸前に社運をかけて月1冊の予約配本による「現代日本文学全集」を1冊1円で販売し、なんと30万部の申し込みがあったという。

この“円本”と呼ばれる配本式の全集の普及が、本棚の価値を変えるきっかけになったようだ。

戦争や天災によって受けた心の傷に文学は癒やしとなり、明日を生き延びるエネルギーとなる。書棚に本が並べば、とりあえず何とかやっていけそうな気にもなるものだ。

そう考えると、何かと世知辛い今の時代に、書棚に対する人々の意識が著しく変わってきているのも納得がいくし、出版業界が活気を取り戻すきっかけにもなるだろう。