「歌うことが当たり前の人生を歩んできましたが、今はっきりと《お客様の力が私を歌わせてくれている》《歌によって生かされている》と実感します。」
2023年1月23日の『徹子の部屋』に森山良子さんが出演。娘夫婦との二世帯住宅での暮らしについて語ります。娘婿といえば、お笑い芸人・おぎやはぎの小木博明さん。なれそめや遠慮のない関係での楽しい日々を語った『婦人公論』2021年4月13日号の記事を再配信します。

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現在発売中の『婦人公論』4月13日号の表紙は歌手の森山良子さんです。長く歌手として活躍してきた森山良子さんは、家を留守にしがちだったと言います。子どもと過ごす時間が限られていたとしても、いくつになっても良好な関係でいられる理由とは──。
(構成=丸山あかね)

息の長いシンガーになるためには基礎が大切だ

歌手生活55年目に突入しましたが、「この広い野原いっぱい」でデビューした19歳のときから何も変わってないような気がします。歌うことをコツコツ続けていたら、あっという間に時間が流れたという感じでしょうか。

父がジャズのトランぺッター、母は無類の歌好きという環境に育ったので、小さな頃から常に、ビッグバンドのジャズや洋楽といった音楽が流れていました。小学校5年生の頃、両親に「歌い手になるから中学には行かない」と言って慌てられたのを覚えています。(笑)

「まずは高校を卒業すること!」「そして発声の勉強をすること!」。この2つの約束をし、今も師事する声楽家・坂上昌子先生の門を叩いたのが14歳のときでした。

わが家では「歌手になりたい!」はフワフワとした夢物語ではなかったのです。「音楽の世界は良子が考えているような甘い世界じゃないよ、息の長いシンガーになるためには基礎が大切だ」と厳しく言われました。この両親の助言がなければ今の自分はなかったと感謝しています。