強豪チーム所属ゆえの大変さ

最初のうちは嬉しい楽しい、平たく言うと、とにかく「ノリノリ」な瑛介だった。打てば長打、まさかの初めてのセカンド守備もヒラヒラと軽やかで、どこから見ても「野球が楽しい人」と顔に書いてあるような毎日だった。

毎週末の遠征は、それはそれはハードな移動が伴う。今日は江戸川あしたは青梅、ZOZOマリンスタジアムの翌日は東村山、多摩川沿いのグラウンドの翌日は秋ヶ瀬球場…ひとつナビを打ち間違えたら全く違うところに連れてかれてしまう…未知との遭遇の毎日である。      

そんな中、どこへ行ってもジャイアンツのユニフォームでグラウンドに立つ。戦うのは、はじめましてな相手チームだけではない。
味方チームの中でも繰り広げられる静かなポジション争いに気を抜けないのは、どんなスポーツも同じである。

そして案外強敵なのは、外から見られた時の「ジャイアンツジュニアって、すごいんでしょう?」バイアス。

大勢から選抜された子達なのでそう思われても仕方ないのだが、よく見ると、体は大きくても本当に普通の小学生なのである。ちょっと目を離すと意味もなくグラウンドをグルグル走って遊ぶ、お弁当のきゅうりの漬物を残す、アンダーシャツを裏表反対に着る…。 

でもプロと同じユニフォームを着ていると余計に、「すごくて当たり前」な小学生に思われてしまう。どこへ行っても減点方式で、打って当たり前、抑えて当たり前、そうでない減点が重なると、ついには、

「今年のジャイアンツジュニアって、大したことなくね?」

という評価になってしまうのだ。

思えばジュニアチームに限らず、強豪チームと言われるところに所属している選手は、みんなこんな思いをするものなのだろう。
その名誉を傷つけることのない活躍が求められるのだ。