正解なんてあると思わないほうがいい

「わかってない」「誤解している」というのは、誤解ではない「正解」があるという前提に立っているからです。

人は変わるのだから、正解なんてあると思わないほうがいい。大事なのはその誤解をどう受け入れるかです。

『ものがわかるということ』(著:養老孟司/祥伝社)

はっきり言うと、誤解は誤解のままで、気づくまで放っておくしかありません。

励ますつもりで言ったのに、嫌味に取られる。言った、言わないでしょっちゅうケンカしている夫婦もいる。

そういう誤解を解こうと思って説明してみても、たいていの場合、徒労に終わります。

講演で百人を前に私が言ったことに、百人のうちの何人がどう反応するか、こちらはわからない。質疑応答で何か反応が返ってくる。

それに対して、他の誰かがまた反応する。明らかに誤解だという感じを受けることはあります。

でも、誤解の解きようがありません。

誤解が渦を巻いている中で「いやいや、私は本当はこういうことを言いたかったんで」なんて言いかぶせてもほとんど意味がありませんから。