いつでも使える方法はない
じゃあどうするか。その都度その都度、瞬間で感じ取るしかありません。生きているというのはその瞬間、瞬間で、状況は常に違ってきます。諸行無常です。
人の機嫌なんてしょっちゅう変わる。同じことを言っても、昨日と今日では反応が違ってくる。
だから、いつでも使える方法はありません。
物事にはタイミングがあり、いい時機かどうかはその都度気づくしかない。その方法は、人から教えてはもらえないし、教えようがありません。
人によって、時間によって、場所によって、すべて状況が違うわけですから、一般化ができないのです。
※本稿は、『ものがわかるということ』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
『ものがわかるということ』(著:養老孟司/祥伝社)
ものがわかるとは、理解するとはどのような状態のことを指すのでしょうか。
養老先生は子供の頃から「考えること」について意識的で、一つのことについてずっと考える癖があったことで、次第に物事を考え理解する力を身につけてきたそうです。
養老先生が自然や解剖の世界に触れ学んだこと、ものの見方や考え方について、脳と心の関係、意識の捉え方について書き下ろした一冊。