うつ病は、しばしば「心の風邪」といわれるくらい、誰もが発症する可能性がある病気です(提供:photoAC)
2023年現在、「団塊の世代」が75歳を迎え始めていますが、医師で多くの著書を持つ和田秀樹さんいわく、「若いうちは認知症よりうつ病になる人の方が多いが、75歳を境に認知症になる人の数がぐっと増える」とのこと。70代以降にやってくる「老い」を遅らせるために避けるべきことの一つが、“心”と“体”を動かさない生活らしく――。

心と身体が動かないと危険

うつ病というと、仕事のストレスを抱える現役世代の病気というイメージが強いかもしれません。しかし、現実には、高齢者のうつ病リスクは高いといえます。

うつ病は、しばしば「心の風邪」といわれるくらい、誰もが発症する可能性がある病気です。日本では人口のおよそ3%、65歳以上の約5%がうつ病患者であるといわれています。

ただし、「風邪」のイメージで軽く捉えるのは間違っています。うつ病は放っておいてもよくなるわけではなく、こじらせると大きな問題になり得ます。

厚生労働省によると、2020年の自殺総数は約2万1000人。年齢別に見ると70 ~79歳は14.4%、80歳以上は10.9%。自殺者の5~8割はうつ病患者であるといわれますから、怖い病気であることがわかるでしょう。

多くの人が認知症をおそれる一方で、うつ病に関してはどこか他人事のように捉えています。しかし、私は認知症よりもうつ病のほうがつらいと感じています。認知症は進行するにつれて多幸感が増すことがあるのと比べて、うつ病は苦しい思いをする一方だからです。