体と心を動かすことが防衛策

では、いったいどうしてうつ病になってしまうのでしょうか。原因は「心因」と「身体因」の二つに分けることができます。

心因は、配偶者や親しい友人やペットとの死別や、病気で寝たきりになったなど、大きなショックを受けたことが原因です。身体因は、加齢や外出しない生活によるセロトニン不足、あるいはタンパク質不足など身体の問題が原因です。

つまり、心と体が動かない生活が続くとうつ病になりやすくなるのです。「やりたいことをやる」「体を動かす」ことは日常でできる最大の予防策となります。

 

『75歳からやめて幸せになること 一気に老ける人、日ごとに若々しくなる人の差』(著:和田 秀樹/大和書房)

認知症とうつを見分ける「2つの質問」

認知症とうつ病は、見分けがつきにくいという問題があります。家族が認知症を疑って高齢者を病院に連れてきたところ、診断の結果、実はうつ病だったとわかるケースが多々あります。

私の場合は、患者さんに対して「ちゃんと眠れていますか?」「食欲はありますか?」という2つの質問をします。

その際、「眠れなかった。眠りが浅くなった」「食欲が落ちた」と答える人は、うつ病の可能性が高いと考えます。老人性うつ病の場合は、一般的にいわれているように気分が落ち込んだり自責感が増したりしないことも多いので、注意が必要です。

自分自身で、うつ病と認知症を見分ける方法を1つお話ししましょう。

認知症は非常にゆっくり進行していくのに対して、うつ病は急にもの忘れが激しくなったり食欲が落ちたり、着替えをしなくなったりします。

はっきりした変化を感じたときは、うつ病を疑ってください。