「一人だから寂しい」というのは単なる決めつけです(撮影◎三浦憲治)
2023年現在、「団塊の世代」が75歳を迎え始めていますが、医師で多くの著書を持つ和田秀樹さんいわく、「若いうちは認知症よりうつ病になる人の方が多いが、75歳を境に認知症になる人の数がぐっと増える」とのこと。70代以降にやってくる「老い」を遅らせるために避けるべきことの一つが、“一人だから寂しい”と思い込んでしまうことらしく――。

孤独を恐れるのをやめる

70代後半になると配偶者との別れを経験し、一人暮らしをする人も増えることでしょう。「国民生活基礎調査」(2021年)によると、高齢者世帯のうち単独世帯が49.3%となっています。単独世帯は年々増加傾向にあり、これから一人暮らしの高齢者は確実に増えると予想されています。

単独世帯を男女別に見ると、男性は35.7%、女性は64.3%となっています。女性のほうが平均寿命が長く、夫が年上の夫婦が多いことを考えると、夫と死別した妻が一人暮らしになるというケースが一般的と考えられます。

ただ、当然ながら妻のほうが先に逝くケースもあります。この場合、気落ちした夫は急に元気をなくしてしまう恐れがあります。実際に妻を亡くした夫は余命が短くなるという調査結果も報告されています。

高齢男性には家事のスキルが低い人も多く、地域とのつながりも薄いため、一人になると、孤独のストレスに押しつぶされてしまうのかもしれません。