2019年11月10日、祝賀御列の儀で国民の祝福を受けられた天皇皇后両陛下。皇后さまが手で涙をぬぐわれるシーンも(写真提供:読売新聞社)
2023年2月23日は天皇誕生日。5年ぶりに天皇誕生日の一般参賀も行われ、天皇皇后両陛下が皇居・宮殿のベランダにお立ちになられます。これにあわせて、皇后になられる前後のお姿を綴った『婦人公論』2020年2月10日号の記事を再配信します。

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令和元年(2019年)5月1日、126代天皇がご即位され、新皇后となられた雅子さま。ご体調が心配されるなか、即位に関する行事にすべて予定通り出席されました。また、海外からの賓客との面会では元外交官としての国際感覚を発揮、その堂々とした佇まいに国民の注目が集まっています。長きにわたり皇室の取材を重ね、雅子さまに関する著書もあるジャーナリストが見つめる、新皇后陛下のお姿とは――(文=友納尚子)

台風被害を受けた宮城、福島を日帰り訪問

2019年12月26日、宮城県丸森町に自衛隊のヘリコプターで到着した皇后雅子さまは、グレーのパンツスーツ姿でさっそうと降り立った。

昨年10月に東日本や東北に甚大な被害をもたらした台風19号による被災地を見舞われた雅子さまは、復旧に時間が掛かっている街並みを見渡すと、言葉を失われたという。天皇陛下が即位されてから初めての被災地訪問だった。雅子さまの足取りは力強く、精力的に仮設住宅の被災者を見舞われた。

本降りの雨となった午後には、ヘリコプターで人的被害が最も大きかった福島県本宮市へ移動した。

「皇后になられてからの雅子さまのお務めは、実にお忙しいものでした。12月に長く続いた即位関連の行事が終わり、年末年始は誕生日文書や歌会始の和歌を考えられる他、新年祝賀・一般参賀などが続く一年のうちで最もお忙しい時期と言われる中で急遽、被災地へ行くことが決まりました。当初は、皇后さまの体力は大丈夫なのかと心配の声もでましたが、両陛下の被災者に対する思いは強く、『年内のどこでもいいのでスケジュールを入れて欲しい』とお気持ちを示されて、実現したそうです」(宮内記者)

福島県への訪問は、2015年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興状況視察のために訪問されて以来、4年ぶりのことだった。

東日本大震災で被害にあった女性(52歳)が沿道にいた。

「雅子さまに再びお目にかかれたことで、来年も頑張って行こうという気持ちになりました」と語っていた。