老いては、コミュニケーション
手段にも多様性を

「老い」は、どんな人にも平等に訪れます。しかし、その表れ方は一人ひとり違うもの。まさに「多様性」と「個性」があるのです。

ある人は耳が聞こえづらくなり、ある人は歩けなくなる。目が不自由になる人もいれば、手が麻痺する人もいます。コミュニケーション手段がゼロになるわけではないけれど、どの機能が残るかは人それぞれ。ひとくくりにはできません。

そこで問題になってくるのが、高齢社会におけるコミュニケーション手段やサービスのあり方です。高齢者の手元に残されるコミュニケーション手段というのは、一人ひとり異なり、実に多様性を持った個性的なものであるということを前提に、行政も公共サービスも対応していく必要があります。私はそのことを日々実感し、発言しています。

(イラスト=マツモトヨーコ)

コミュニケーション手段という点では、デジタル技術の進歩、横文字で言うと、ICT(Information and Communication Tech-nology:情報通信技術)なるものを無視するわけにはいきません。私はアナログ世代なので、これまでICTとは距離を置いていました。でも、コロナ禍が始まって、ちょっと変わったんです。

私が理事長を務めるNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」でも、対面の会合が開きづらかった時期に、パソコン画面でお互いの顔を見ながらミーティングが行えるZoomを使うようになったからでもあります。2021年10月、「高齢社会をよくする女性の会」の全国大会が愛媛県の松山で開催されましたが、理事長の私は、遅ればせながら「これからはICTを積極的に取り入れます」と宣言、そのための講演会や勉強会も行いました。