老いの暮らしに、
新しい技術もぜひ取り入れて

Zoomはちょっとハードルが高いという方もおられるかもしれませんが、LINEのビデオ通話やスマホの動画機能を利用している高齢者はかなり多いようです。コロナで会えない間、孫が動画を送ってくれたのでうれしかった、といった話もよく聞きます。

また、散歩中にスマホで道端の植物や風景の写真を撮り、友人や離れて暮らす家族に送るのを日課にしている人もいます。人と会うのが難しかった期間、スマホなど電子機器を通してのコミュニケーションに心慰められた人も多かったのではないでしょうか。

人生100年社会のありがたさのひとつは、さまざまなコミュニケーション手段が生まれたこと。多少、学ぶ気持ちさえあれば、何歳になってもコミュニケーションの範囲が広がります。行政が高齢者向けに講習会を開いたり、若者が高齢者にスマホやパソコンの使い方を教えるボランティアをしているケースもあります。機会があれば、積極的に活用してみたらどうでしょう。

ワクチン接種の予約など行政サービスを受けるにもインターネット環境が必要となる今、デジタルが苦手な高齢者向けに、行政がスマホ講習会を開くなどの対策が必要です。

行政や公共サービスには“老いの表れ方”の多様性や個性をぜひ考慮していただき、われわれ高齢者も、コミュニケーション手段の多様性を受け入れて。高齢者をICTから「置き去り」にしない人生100年社会─実現できたら、きっと高齢になってからの「生活の質」が上がると思います。

次々と新しくて便利な技術やサービスが生まれる時代、私自身、わからないことは人に教わりながら、という姿勢でやっております。また、そこにある「好奇心」はいつまでも失わずにいたいとも思っています。