(イラスト:赤池佳江子)
病で勉強できず悔しかった10代、立っているだけで倒れる90代……。数々の病をなだめすかしつつ、いつまでも「助っ人でありたい」との決意も新たに。

卒寿、がんぐるみ

私にとって、89歳から90歳にかけての1年間は、思いがけず暗い、というかいささか落ち込んだものになりました。なんと90歳を目前にして、乳がんが発見されたのです。歳はとっても早めの検査と対応が必要だと、再確認しました。

私の84歳から3年ほどは、自宅の耐震性に「問題あり」と指摘されたことで、「建て替え引っ越し」という難問に費やされました。ようやく落ち着いたのは、90歳まであと1年のとき。まだ新築の感がある浴室を出て、その日めずらしくピカピカの三面鏡の前に立ちました。

「ん?」

すぐ気づきました。左の乳房がなんだか右より少し大きいのです。さわってみると軽いしこりが。娘(専門は違うけれど、医師)が帰宅していたので、呼んで触診してもらったら、「あるねえ」。

幸い名医に恵まれ、結果として、がん摘出手術をすることになったのです。それからほぼ1年後の、2022年4月15日に無事成功。痛みもほとんど感じませんでした。