命にかかわる手術も

そもそも私と乳がんのかかわりは、今回だけではありません。思えば、66歳のとき、右(今回の反対側)に小さなしこりが発見され、がんと診断されたことがあります。

ごく小さかったので部分切除の手術を受けました。あとでしこりは脂肪のかたまりだったことが判明。その年齢になると、体の一部にがん細胞がぽつりぽつりとあって、細胞診でたまたま取ったところががんと診断されるのも、ありうることと言われました。

いま考えると、セカンドオピニオンなどの対応がありえたと思いますが、その時々、相手が最善を尽くしてくれたのなら仕方がない、と私は思いました。

その後、77歳のときには胸腹部大動脈瘤感染症で命にかかわる大手術を受けました。ほかにも子宮筋腫、最近は白内障手術、転倒などと続き、数えあげてみると、90年生きているうちに、満身創痍。傷だらけ。

そこに投入された医療費はじめ、家族や関係者のおかげさまで、生き延びてきたことを実感しました。

<後編につづく


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