真夏のある朝、樋口さんの身に起きた悲劇とは!?(写真提供:Photo AC)
「人生100年時代」と言われるようになって久しい現在。厚生労働省が2021年9月1日時点の住民基本台帳をもとに国内に住む100歳以上の高齢者の人数をまとめたものによれば、9月15日までに100歳以上になった人は、全国で8万6510人と、前年より6060人増加。昭和45年の310人から、51年連続で最多を更新しています。一方、評論家の樋口恵子さんは22年5月に90歳を迎えたことで「これまで考えていた”老い”はまだ入り口に過ぎなかった」と日々痛感しているそうです。そのきっかけの一つに、とある事故があったそうで――。

真夏の朝の怪談(階段)転落事故

2021年8月のある朝、私は起き抜けに所用があり、書斎兼寝室と、北側のファックスや事務用品のある納戸との廊下を2〜3往復していました。

個室を出て廊下は僅か二間ほど、幅は1メートル強。左はトイレのドア、右は階段です。

私はヨタヘロしておりますが、屋内には階段とトイレ、浴室以外手すりはつけていません。今のところそのへんの家具につかまったりはしますが、屋内と猫の額の庭内は補助具なしに動けています。

その日も、そのつもりでいました。気がついたとき私は、2階の廊下、階段の降り口から転落し、14段の階段が90度折れ曲がる上から9段目まで転げ落ちていました。

あちこちにぶつかりながら、3回転ぐらいしたでしょうか。体を丸め、四肢は自然に硬直し、変な表現ですが力いっぱいにゆっくりと転げ落ちました。