新刊を出すのを抑える法律が欲しいくらい

竹田「今、一日300タイトルの本が出ているといわれていますから。年にして8万タイトル」

清水「本屋がなくなるかどうか、っていう瀬戸際なのに(笑)」

――小説などでは新人賞への応募が増加傾向に、といったニュースも耳にします。

清水「世の中に『時間』が生まれたんだと思う。リモートワークも広がって、より効率的に仕事をしようと意識するようになったし。同時に、ものを書くのに必要なエネルギーも出てきた、というか。ただその結果、本については、生産が消費を追い抜いてしまった」

竹田「それは本当にこの業界の課題ですよね。書店仲間の間では、出版社側に新刊を出すのを抑える法律を作って欲しい、なんて話が出るくらい(笑)」

――先日、取次さん主催のセミナーを受けたんですが、もっと売れる本をつくるためにこうしよう、ということ以上に、もっと効率よく売るために数も値段も精査してほしい、という提案が目立っていました。点数を出せばいい、というものじゃない。

竹田「現状の出版は”刷ればとりあえず手元にお金が来る”という仕組みにあります。なので、それぞれの編集者が一冊一冊に心を込めて作ったとしても、会社側は必ずしも同じ温度で本を扱っているわけではなくて。刷ればお金が入るもの。でも、半年くらい先には返品が待っている。返品されるということは、その代金は返金しないといけない。返品される頃に手元のお金がなければ、じゃあまた刷るか、と。これを戦後から今まで繰り返してきた」

清水「まさに自転車操業」

竹田「かつてはたまに大当たりして、それで挽回ができました。でも今は“たまに”の精度がどんどん低くなっている。100万部超えのミリオンセラーもなかなか出なくなりましたし、20、30万部いったら大ヒット、というレベルに落ち着いています。反面、初版が1000部、なんて少ししか刊行されない本も出てきていて」

清水「下手すれば、同人誌の方が多いですね」