本屋の閉店が続いている理由

――これまでの出版ビジネスは『雑誌』がそのベースを支えていたところがあって。たとえば、本屋さん側では、近所の美容室に雑誌を収めるのが収益の柱になっていたり、取次も雑誌を運搬するとき一緒に書籍を運ぶ、ということができていた。でもその雑誌に元気がなくなったことがまた、出版ビジネスのほころびに繋がっています。

双子のライオン堂書店店内。天井まで続く本棚を抜けた先にイベントスペースが設けられています(写真提供:竹田信弥さん)

竹田「雑誌の刊行サイクルにあわせてルートを組むことで、極めて効率的に配送ができていたんですよね。真偽はわかりませんが、大手物流会社が雑誌・書籍流通を真似をした、と言われるくらい、取次の流通システムは進んでいたみたいです。でも、ほころびが無視できないほどに、大きくなってしまった。つまり、生産数で支えていたものが賄えなくなったのが今。続けていくため、やむを得ず借金をする本屋さんも増えていると聞いています」

清水「儲かっていれば、ほかの本屋に売って吸収してもらう、って判断もできたかもしれないのに。それこそM&Aみたいに」

竹田「それがうまくいかないのが、また街の本屋さんで。やはり本屋の店主ゆえ個性が強い、という意味で難しい面もある。あまり言われていないけど問題になりやすいのがお店の構造です。かつて商店ではよく見られた1階に店舗、2階に住まい、という構造が、第三者に引き継ぎにくい要因になっていると聞きます。相性もありますが、先代の主人が住んでいる下で、商売をするのは、お互いあまり具合がよくないんですかね。今ならギリギリ子どもにお金を残せそうだし、継がずにお店を畳もうか、という判断が続いているのが現状です」

清水「なるほど」