博子さんの子どもの頃からのごちそうの定番、巻き寿司

博子 ありがたい。でも、重たい荷物を持って坂道を上る母を見たときは、思わず「キャスターつきのバッグ、買っちゃあけん!」と言ったんだけど、「いら~ん。年寄りじゃあるまいし」って。「階段、気をつけて」と言うと、「わかっとう!」と不機嫌に。(笑)

玉枝 荷物を持って歩くと運動になるし、まだ手すりを使わずに階段を上り下りできるから。

博子 ケガでもしたら大変だから、老化も受け入れて、「できないことが増えてきた」と思わんと~。

玉枝 でも「自分はまだできる」と思えばできるとよ。

博子 タフだし、心のスタミナもすごいよね。たとえば真冬にドラマのロケがあったときは、徹夜で寸胴鍋に60人分くらいの豚汁を作って差し入れしてくれた。子ども時代から母の手料理の思い出はいろいろあるなあ。

玉枝 料理は私にとって大事なこと。働き詰めで子どもと接する時間がない暮らしだったけど、子どもたちとつながっていると思えたのが、唯一、お料理だったから。

夕方、配膳の仕事に行ったあと、魚市場で明け方まで働いてウロコまみれで帰宅したものです。お風呂がないアパートだったから、家の外の水道で洗い落として。

博子 家計が大変だったと思うけど、誕生日とかハレの日の料理は豪華だった。徹夜で唐揚げやちらし寿司を用意してくれて。酢飯の匂いで目が覚めると、幸せな気分になった。昔もいまも、母の手料理は愛情表現なんだなって思う。

玉枝 あなたたちには本当に苦労をかけたと思っていますよ。

博子さんのコンサートやテレビ収録のとき、玉枝さんがつくるお弁当はおかずも愛情もたっぷり