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かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。

前回「「自分好みの家」という夢を追って、リフォーム系不動産業者に行ってみた・上~定年前は「マンション購入適齢期」?」はこちら

72歳の個人事業主の女性が買いましたよ

(前回から続く)

もう一つのリフォーム系不動産仲介業者B社は、ショールームでの待ち合わせでした。リフォームやリノベーションの実例紹介や説明があるかと思いきや、いきなり担当者との個別相談が始まりました。B社の担当者は30歳前後の男性I氏です。

夫婦ローンも親子ローンも使えない、「57歳独身子なしフリーランサー女性」の私でも住宅ローンは組めるのか、「アラ還でもいいのか」問題を聞きました。答えはやはり「大丈夫」でした。50代でもローンが下りた実績は過去にあるそうです。「80歳完済なので借入期間は短くなりますけれど、年齢よりも、銀行が気にしたのは“健康”です」と、こちらもM氏の説明と同じでした。銀行が健康状態のほかにチェックしたのは、会社員かどうかではなく、過去の資産状況や借金、将来の年金額だったそうです。さらに、賃貸か購入かを迷っていると話したら、I氏はこんな例を教えてくれました。

「72歳の個人事業主の女性が買いましたよ」。彼女は子どものいない単身者で、いつか買おうと思いつつも、ずっと賃貸族だったそうです。でも都内のいまの部屋の家賃が上がり始め、将来もっと上がるのではないかと不安になりました。家賃が上がり続けると、亡くなる前に貯蓄が底をつくかもしれません。安い賃貸に住み替えるか、いっそ購入するか。考えた結果、買うことにしたと言います。「購入すれば家賃のように“掛け捨て”ではなく、自分の所有物になります。例えば80歳で老人ホームに移ろうと思った時、購入して住んでいた物件を売れば、施設の入居一時金になるのではないかと計算したそうです」。

いま日本人女性の平均寿命は約88歳、健康寿命は約75歳です(厚労省による1)。つまり女性が自宅で健康に過ごせるのは75歳頃までで、その後の12年強は施設や病院で介護や看護を受けるのが平均的です(もっと長生きしてしまうリスクもありますが)。子のない単身者の場合、最後の12年強を施設で過ごすための資金も、自分で準備しておかなくてはいけません。


1日本人女性の平均寿命は87.57歳(2021年)、健康寿命は75.38歳(2019年)。