「あこぎな」中古マンションの発掘・買い取り

ただし、リノベーション・リフォームの質はピンキリです。ちなみに、リノベーションとは、内装をすべて取り去って駆体に戻し、床スラブや壁の補修・補強や、ガスや水道の給排水管の交換・改修をしてから内装を新しく造り直す工事。リフォームは、駆体はいじらずに、クロスや床材など表面的な内装を交換・補修し、バス、トイレ、キッチンなどの住宅設備を交換・刷新する工事のことです。両者を混同している表記や業者も多々目にします。

別の不動産業者に聞いたところ、例えばフルリノベーション済みと謳う物件の中には、適切な勾配をつけずに水回りの位置を変えたり、室内の古い給排水管の交換をしなかったりと、のちの水漏れ事故につながる不適切な改修をした部屋もあるそうです。でも、床を張ってしまった後では、床下の配管の具合は確認できません。ぱっと見はきれいな内装ですから、買う側は、粗悪な施工かどうか判別できません。

また、リフォーム業者による「あこぎな」中古マンションの発掘・買い取りもあるように感じます。所有者がまだ売る気のなかった物件を、「すぐ現金化できます」という謳い文句で、市場価格より3~4割も安く買い叩くのです。そして、安く不適当なリフォームを施して、相場か少し高めの金額で市場に出して売り、買いでも売りでも儲けます。いずれ、こうした粗悪リフォーム物件や悪徳リフォーム業者が社会問題化するのではないかと危惧します。

この意味では、リフォーム系不動産仲介会社は安心です。物件を購入してリフォーム工事をしてもらいますから、施工も途中経過もチェックでき、少なくとも不適切リノベや粗悪リフォームは避けられるでしょう。

ところで、購入の話をしているうちに、はっと気付けば私の予算はどんどん膨らんでいました。当初2000万円以内と想定していたのに、気付けば3000万円超。でも、そもそも私はいくらまでなら借りられるのでしょう。銀行が貸してくれるか、ではなく、老後の資金計画の話です。いくらまでなら、借りても生活が破綻しないのでしょう。本来、最初に考えるべきところを、順序が逆で今更になってしまいましたが、きちんとお金について考えてみることにします。

※次回は「今更ですが、お金のプロ、FP(ファイナンシャル・プランナー)に資金計画を相談してみた」です。

◆本連載が書籍化され3月8日に発売されました