大相撲は言葉の面でも変わりつつある

翠富士を1敗で追うのは、小結・大栄翔ひとり。優勝経験があり、速攻の突き・押しが光っている。
何度も惜しいところで優勝を逃している前頭7枚目・高安は、初日から6連勝していて今場所こそ「あるな」と思っていたら、7日目、8日目と連敗した。

誰が先に大関になるかと楽しみにしていた3関脇は、勝ちたい気持ちが伝わってくるものの豊昇龍と霧馬山は5勝3敗。若隆景は、初日から5連敗してから3連勝した。5日目が悲しかった。若隆景は御嶽海に勝ったと思ったが、物言いがついた。結果は、取組の途中で若隆景の膝が土俵の土に着いたため「つき膝」となり、行司差し違いで御嶽海の勝ちとなった。

「つき膝で負けるなんて、若隆景はツキがない」と、テレビの前で「つき」と「ツキ」の駄洒落を一人で言っている自分に虚しさを感じた。私は業界新聞の記者をやっている時に、オッサン系の駄洒落がひどく、編集長から「駄洒落禁止令」を出された。周りの人たちを駄洒落で寒くすることが喜びであった。
小結の若元春は5勝3敗、琴ノ若は6勝2敗、翔猿は連日面白い相撲を取るが4勝4敗だ。

正代は3関脇を破り、8日目には若元春を寄り倒し、6勝2敗と最近にない好調ぶり。怪我など調子の悪いところが治ったのか、大関の重圧から解放されたのか全く不明だが、相撲の常識破りの立ち腰のまま、グングン相手に迫る「正代流の圧力」が冴えている。

前頭8枚目・宇良は5勝3敗。宇良は、あらゆる手で勝とうとするので、ファンの拍手が多いのは当然だが、ご当地大阪出身なのでさらに拍手が多く、帰りの花道で知り合いに声をかけられ、気づいて視線を送るところが、さらに面白い。