2023年3月12日、春場所が大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で始まった。先場所は大関・貴景勝の優勝で千秋楽を終えたが、今場所も横綱不在。初日も波乱の幕開けに。中日を終えた戦況やいかに…。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「大相撲春場所は波乱の幕開け。綱とりの貴景勝は翔猿に土俵際で逆転敗北。大関を狙う豊昇龍は元大関・正代のド迫力に完敗」はこちら

1横綱、1大関の場所は125年ぶり

大相撲は毎場所、何が起こるかわからない。特に「荒れる春場所」と言われているが、その春場所、2回目の綱とりに挑んでいた大関・貴景勝は6日目までに3敗し、7日目から左膝内側半月板損傷で休場。来場所は、横綱どころか大関の地位をかけたカド番となる。

1横綱、1大関の場所は125年ぶりだが、横綱・照ノ富士は初日から休場。横綱と大関不在の場所は昭和以降初めて。横綱誕生を期待したファンは悲しいが、一番辛く、悔しい思いをしているのは貴景勝だと思う。

貴景勝は3日目、元大関で前頭筆頭・正代と対戦し、勝ったが膝を痛めた。そして、6日目の元大関で前頭3枚目・御嶽海戦では負けて、膝を悪化させたそうだ。
ひと昔前は「相撲は負けると怪我をする」と、NHKのテレビの解説者たちは言っていたが、最近は勝っても怪我をする。4日目に貴景勝が膝にテーピングをして登場した時は、膝をさらに悪化させないために休場した方が良いと、私は思った。

貴景勝は子供の頃から横綱になりたいと考えていたそうだ。令和2年11月場所で優勝し、令和3年初場所で綱とりに挑んだが足首を痛め、2勝で10日目から休場した経験がある。しかし、まだ26歳。来場所は好成績をおさめ、3回目の横綱挑戦に繋げてほしい。上の地位に向かって行く力士の姿からは学ぶことが多い。だから私は70年近く大相撲ファンを続けているのだ。

中日8日目を終え、幕内の全勝は前頭5枚目・翠富士ひとり。初の中日勝ち越しで、インタビューを受ける翠富士は笑顔がおさまらない。同部屋の照ノ富士に「あるな」と言われていることを明かす。「あるな」は、美味しい夕食があることではなく、「優勝」のことだ。夕食を想像する方がおかしいか?