新関脇・霧馬山は、着々と力をつけている

私は、押し相撲よりも四つ相撲の方が好きなのだが、大栄翔の突き押しは気に入っている。「俺にはこれしかない」と感じさせる潔く迷いのない突き押し。絶好調の時の大栄翔の取組中の顔は、まさに「相撲取っているぞ!」という相撲職人の顔だ。インタビューでも一本気の職人のような厳しい顔をして、声も低くて渋く、突き押し相撲のイメージに合っている。特に今場所は足も前に出て、その良さが輝いている。大栄翔の取組の時は、コンビニで買った大福やお煎餅を食べたりせず、椅子から降りて、敬意を表して床に正座して拝見している。

しかし、千秋楽の対戦相手の新関脇・霧馬山は、着々と力をつけている。左四つ、寄り、投げが得意技で、器用な力士だ。14日目の対戦相手は関脇・若隆景だったので不戦勝で3敗をキープ。1日取組がなく、追う立場の霧馬山と緊張を継続している大栄翔のどちらが有利なのだろうか?

関脇、小結で3場所合計33勝以上が大関昇進への目安の一つと言われている。新関脇での優勝、12勝3敗の成績により、霧馬山は大関への足掛かりを掴むことになる。霧馬山の師匠は、12日目のNHKテレビ正面解説者だった陸奥親方(元大関・霧島)だ。テレビに映った親方は、あいかわらずカッコよかった。霧馬山が師匠譲りの秘めたる闘志を持って、大栄翔に向かって行ったら怖いぞ!と思った。

誰が先に大関になるかと楽しみにしていた3関脇のうち、若隆景は脱落。豊昇龍は9勝4敗なので、なんとか千秋楽に二桁をあげたいだろう。14日目、豊昇龍は、優勝戦線に加わっていた3敗の小結・若元春を見事な上手投げで破り、その根性を披露していた。若元春は4敗となり、優勝戦線から脱落した。