2023年3月12日、春場所が大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で始まりいよいいよ千秋楽。先場所は大関・貴景勝の優勝で終えたが、今場所も横綱不在。初日も波乱の幕開けに。中日を終えた戦況やいかに…。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「大相撲春場所、中日を追え、綱とり挑戦の貴景勝が休場。昭和以降初の横綱、大関不在に。中日勝ち越しは平幕の翠富士、1敗で追うのは小結・大栄翔」はこちら

上位陣不在でも、優勝争いは白熱している

大相撲春場所は、14日目を終え、2敗の小結・大栄翔が単独トップで、千秋楽には3敗の関脇・霧馬山と直接対決する。大栄翔が勝てば、令和3年初場所以来2回目の優勝。霧馬山が勝てば、大栄翔との優勝決定戦になる。

初日から横綱・照ノ富士、7日目に大関・貴景勝、そして関脇・若隆景が膝に怪我をして14日目から休場。若隆景は13目目の小結・琴ノ若戦で物言いの後に取り直しとなり、勝って7勝した。しかし、休場で負け越しとなり、7場所継続した関脇の地位を落ちることになり残念だ。

上位陣不在でも、優勝争いは白熱している。

大栄翔は、連日、激しい突き押しで対戦相手を圧倒。大相撲ファンに大栄ショータイムを堪能させてくれている。14日目、大栄翔は前頭5枚目・翠富士を突き倒した。翠富士は、初日から10連勝し、「優勝するのでは」と思われていたが、4連敗して優勝戦線から脱落。

翠富士は10連勝のあと、小結・若元春、関脇・若隆景、関脇・豊昇龍、小結・大栄翔の順に対戦し、身長171㎝、体重117㎏の小柄な体でよく動いたものの、やはり上位力士は強かった。翠富士は、8日目の勝ち越しのインタビューで、同部屋の横綱・照ノ富士に「あるな」と優勝について言われたことを、早口で嬉しそうに話していたが、一転して「ないな」になってしまった。

平幕力士が優勝の可能性がある時に、笑顔とハイテンションでインタビューに応じた後、優勝したという記憶が私にないので、駄目かもと思っていた。大相撲は心・技・体と心が先にくるので、優勝するには、対戦相手を冷静に見ながら、表に出さない燃える闘志が必要なのだろう。