MC中居くんの気配り、優しさ

この日、私はかなり早めに局入りし、メイクなど自分の準備を済ませ、中居くんの楽屋の前を何度も通り、御挨拶のタイミングを計っていたのですが、結局叶わず、本番直前、スタジオで「よろしくお願いします」としか言えませんでした。

何度も前を通った中居くんの楽屋は、広くてオープンな部屋が多いTBSの楽屋の中でももっとも広い場所。そのいちばん奥の小さな着替え部屋のカーテンが全開で、中がよく見えます。そこには、食べかけと思われるお弁当の蓋を開けっ放しにしたまま、まるで入試に挑戦している学生さんのようにペンをカリカリと走らせている中居くんの姿がありました。

バラエティー番組の台本というのは、MCのタイプやクセを考えて、色々なタイプがあるもの。『金スマ』はトークバラエティですから、元々かなり細かく段取りが台本に記されていると思われます。

にもかかわらず、中居くんはそれこそ余白が真っ黒になるほどギッシリと書き込んでいたのです。スタジオでもそれがチラッと見えましたから……。

でも、それを全て話す人ではありません。共演者の《喋りしろ》もちゃんと考えて、自分がわかっていることでもあえて共演者に言わせるのがMC中居くんの気配りであり優しさです。

WBCに話を戻すと、中居くんのレポートは、選手に取材したことをすべて話すのではなく、良きタイミングで、もっとも言うべきコメントを短いセンテンスで伝える、というスタイルでした。

決して実況の邪魔にならない。しかも、ちゃんと取材をしているから、その中居くんのコメントを受けたアナウンサーや解説者の方も話しやすくなる……という《中居くんマジック》が其処かしこに聞かれたのです。