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放送作家・コラムニストとして、数多くの著名人にインタビューし、コメンテーターとして活躍している山田美保子さん。小さいころは引っ込み思案で話すことも苦手だったそう。そんな山田さんを変えたのは何だったのか。さまざまな出会いや、出会った人のアドバイスを通じて、今の自分があるという山田さんが、自分が楽になるコミュニケーション術を紹介する連載。第30回は「中居正広さんのこと」です。

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WBC7戦全てをサポートし続けた中居くん

「泥だらけのストッパー」とは、御存知、中居正広くんがWBC決勝戦の9回表、大谷翔平選手が投手としてマウンドに上がったときに放った言葉です。

正確には、「泥だらけのストッパー、泥だらけのリリーフピッチャー、初めてです」。大谷投手のユニホームにかなりの面積で泥が付いていたのは、打者としての大谷選手が果敢に滑り込んだ結果。野球ファンの方の多くが(プロ野球でこんな光景は見たことがない)と感じた瞬間だったと思われますが、それをキャッチコピーのように言葉にした中居くんに野球ファンはもちろん、《にわか》としてテレビやスマホで観戦していた皆さんから称賛の声が挙がり続けています。

7戦全勝でWBC優勝を飾った侍ジャパン。すべてのテレビ中継が40%超え(ビデオリサーチ調べ・関東地区)。結果的に無敗での優勝だったものの、決してそれぞれの試合は楽勝ではありませんでした。準決勝のメキシコ戦のように劇的なサヨナラ勝ちをしたカードにヒヤヒヤされた方も多かったことでしょう。

私もすべてリアルタイムで観戦しましたが、ただ見ているだけなのにすごく疲れてしまい、仕事にならない日々が続きました。

だから現地で7戦すべてを「侍ジャパン公認サポートキャプテン」として文字通りサポートし続けた中居くんは、どれだけ体力を消耗したのか。昨年から今年にかけて休養していた中居くんでもありましたから、正直、心配もしていました。中居くんは完治してWBCの取材やリポートに臨んでいるのか。WBCのスケジュールに合わせて前倒しで復帰してしまったのではないか……などとも思っていました。

特に、選手も含めて緊張がみられた「1次ラウンド【プールB】。試合前、ベンチ横で何人かの選手にインタビューをするときには、中居くんでさえ、東京のスタジオとは違ってどこか本調子ではなかったように拝見していました。

でも、それは中居くんが栗山英樹監督やコーチ陣を含め、侍ジャパンの皆さん全員をリスペクトしていたからの緊張や、一歩引いた姿勢であることがわかりました。