お金持ちほど投資で税負担を抑えている
なぜこのようなことが起きるかというと、高所得者が株式などの運用益を得て税率を低く抑えているのが理由です。
給料や事業などの収入を増やそうとすると、累進税率のため税負担の割合はどんどん高くなっていきます。でも、株式などの運用益を増やせば、何十億という利益を得ても税率は20.315%より上がることはありません。
つまり、ある程度の収入がある人は、仕事で金を稼ぐよりも、投資でお金を稼ぐことで、税負担を抑えているのです。
なお、日本の税制を取り仕切る政府税制調査会が、2022年10月の会合で「1億円の壁」について「正当化は難しい」と問題視したとの報道がありました。その後、高所得者を中心に資産運用の税制にメスが入る方針が示されました。
その一方で、岸田文雄首相は「資産所得倍増」を打ち出しており、資産運用を支援する税制優遇制度「NISA」の拡充などが議論されています。
総合的に考えれば、日本政府は、日本人が保有する預貯金を資産運用に誘導したいと考えているため、今後も投資に関連するさまざまな税制優遇措置が継続されると予想されます。