小林さんいわく、お金持ちほど仕事でお金を稼ぐより、投資でお金を稼ぎながら税負担を抑えているそうで――(写真提供:Photo AC)
岸田文雄首相が推し進めている「資産所得倍増プラン」。2024年からはNISAの制度が新しくなるなど、貯蓄から投資へのシフトを促すさまざまな施策が行われていますが、元東京国税局職員の小林義崇さんは「知らない間にあなたはお金で失敗している!」と主張しています。国の資産を扱ってきた小林さんだからこそわかる、いま一番安心なお金の増やし方とは。その小林さんいわく、お金持ちほど仕事でお金を稼ぐよりも、投資でお金を稼ぐことで税負担を抑えているそうで――。

1億円の壁

資産運用が税金的に有利であることに、多くのお金持ちは気づいています。そのことがわかる資料を見てみましょう。

申告納税者の所得税負担率<『元東京国税局職員が教えるお金の基本』より>
POINT
収入に比例して税金の負担率が増えていたのが、1億円を頂点にして右肩下がりに。分離課税による節税効果を活かしていることがわかります。

これは日本の納税者の所得税の負担率を示したものです。横軸が所得金額で、右に行くほど高収入ということです。そして縦軸は所得金額に占める所得税の負担率を示しています。

グラフを見るとわかるように、合計所得金額1億円までは、グラフの線が右肩上がりになっています。これは累進税率によって所得が増えるほどに所得税の負担率が高くなるからです。

ところが、1億円を超えると、逆に右肩下がりになっているのがわかるでしょうか? この現象は「1億円の壁」と呼ばれています。

これを見て不思議に思いませんか? 普通に考えれば、1億円を超えてから所得税の負担率が下がることはないはずです。