3月の今が狙い目

1つは、私鉄沿線A駅から徒歩8分の物件です。価格は3980万円。旧耐震の1969年築ですが、耐震補強工事がしてあり、耐震基準適合物件です。広さも54平米、南東向きで、私の望んだ眺望もあります。フルリフォーム済みで、室内はぴかぴか。都内の物件の金額とレベルを確認するための内見でしたが、かなり良いです。もちろん、事前に、事故物件ではないことは確認済みでした。もし、いま売ろうとしている手持ちの不動産が売却済みで頭金があったら、購入申し込みをしたかもしれない、と思うくらい、気に入りました。

古さは、(あと50年住むかもしれないと思うと)心配ですが、耐震補強が実施できるくらい管理組合が機能しているのは素晴らしく、将来的にも安心できそう。23区内の駅近で、この広さでこの金額も魅力的です。私にはやや使いづらそうな2LDKでしたが、まったくダメな間取りでもなく、これはこれでアリかもしれません。物件を案内してくれた大手不動産仲介業者の担当女性S氏は、「旧耐震だけれど耐震補強をしてありますから、銀行の住宅ローンも大丈夫です」と話します。そして、ぶっちゃけ、3月の今は狙い目だ、と指摘しました。年度末なので、今なら、売主が価格交渉に応じる余地があるかもしれない、というのです。

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「フリーランスで、57歳、子なし、ですけど、住宅ローンはつきますか?」私はいつもの問いを投げかけました。S氏は、住宅ローンの返済期間が22年しかないということですよね、と、手元で電卓を叩き始めましたが、すぐさま、「大丈夫です」と言いました。ええ? そんな簡単に請け負っちゃっていいんですか? 「確定申告をしていますよね? なら銀行ローンが付きますよ」。そして最新の(2022年分の)確定申告の書類を見せたところ、「これなら、4000万円くらいまで引き出せるんじゃないかなあ。もしかしたらフルローンも行けるかも知れません」。なんと! そんな美味しい話があるとは、にわかには信じられません。

フルローンとは、諸経費(物件価格の約8~10%)以外の物件価格全額を借りることです。ふつうは頭金として1割は必要ですから、9割までしか借りられません。でも、例えばこの物件なら、諸経費約300万を除いた3980万円全額を、住宅ローンで貸してもらえるかも、とS氏は言うのです。かつては不動産を買う時に、フルローンが付くのは珍しくありませんでした。ですが、最近は審査が厳しくなり、投資物件はもちろんダメですが、実住物件でもフルローンはほとんど無理だと、私は不動産投資業界筋から聞いていました。