昔からかなりの偏食でした

85歳のころ、定例の検査の際、お医者さまから「低栄養です」と指摘されました。栄養状態を改善するため、食生活を見直し、必要に応じて飲み物などで栄養素を補ったほうがいい。そうアドバイスされたのです。

『歳はトルもの、さっぱりと』(著:石井ふく子/中央公論新社)

実は「仕事を続けるためには健康が一番」と言いながらも、食生活はあまり褒められたものではありませんでした。昔からかなり偏食で、食べられないものがたくさんあるのです。

野菜は苦手なものが多く、豆類はダメ。豆が好きではないので、お豆腐もあまり食べません。

なにより嫌いなのが茄子です。形がネズミに似ているので、見ただけで大嫌いなネズミを思い出して背中がゾワゾワしてきて、どうしても食べる気になれないのです。そんな理由で食わず嫌いというのも、我ながら情けない限りですが。

かぼちゃも割ったときの身の色が毒々しくて、食べる気になりません。ですから以前は敬遠していたものです。ところが、あることをきっかけに食べられるようになりました。辛いものが苦手なので、カレーライスも食べません。うなぎは、祖母から「おまえの守り本尊の虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は、うなぎが好物だから、それを絶つことで守られているんだよ」と何度も言われたせいで、受けつけなくなってしまいました。

お味噌汁もあまり好きではないので、家でつくる汁物はもっぱらお吸い物。お肉も苦手で、たまに鶏肉を食べる程度です。