「長年の習慣を変えたのは、未来のため。この先もずっと仕事をしたいからです」(写真提供:石井さん)

85歳で“肉食”に宗旨替え

好き嫌いが多いうえ、昼食抜きが長年の習慣になっていたため、いつの間にか栄養失調になっていたのでしょう。年齢とともに食べる量が減ってきたことも、影響していたのかもしれません。なかでもタンパク質が足りないという指摘があり、お医者さまからは、できれば毎食、肉や魚などの動物性タンパク質を欠かさないようにと注意されました。

とくに気をつけたいのが、朝食だそうです。高齢になると、筋肉量を減らさないために、朝食でしっかりタンパク質をとるのが大事だと言われました。

そこで80代半ばから、朝は主食をパンにし、卵料理のほか、豚肉と野菜の炒め物など肉を使った料理を食べるように。夜も、ハンバーグステーキやロールキャベツなど、日によっては魚料理以外のおかずも食べるようにしています。

おかげで最近、お肉が食べられるようになりました。長年の習慣を変えたのは、未来のため。この先もずっと仕事をしたいからです。

長年身についた食生活をガラリと変えたわけですから、私にしてみれば85歳の大革命と言ってもいいかもしれません。

 

※本稿は、『歳はトルもの、さっぱりと』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


歳はトルもの、さっぱりと』(著:石井ふく子/中央公論新社)

『渡る世間は鬼ばかり』などホームドラマで知られる石井ふく子さんは96歳の現役プロデューサー。その暮らしは、縁を大切に育てる「おかげさまの心」にあふれています。近所に住む女優たちに「ちょいと菜」を差し入れ、医者通いの輪を広げ……つかず離れずさっぱりと、それでいて情深い"世話焼き"は、往年のスターたちに学び、磨かれました。ひとりで生きてきたけれど、人はひとりではない。石井ふく子流、老いを生きる知恵が満載。